海外の教育現場に学ぶ!非認知能力の育て方
最近、「非認知能力」という言葉をよく耳にするようになりましたね。学力テストでは測れない、でも将来の成功に大きく影響する力のことです。実は、海外の教育先進国では、この非認知能力の育成に積極的に取り組んでいるんです。今回は、フィンランドとシンガポールの教育現場から、私たちが学べる非認知能力の育て方をご紹介します。
フィンランドの教育現場で重視される「自己調整力」とは?実践例も紹介
フィンランドの教育といえば、PISA(国際学習到達度調査)で常に上位にランクインすることで有名ですよね。でも実は、フィンランドが最も重視しているのは学力だけではありません。「自己調整力」という非認知能力の育成に力を入れているんです。自己調整力とは、自分の感情や行動をコントロールし、目標に向かって計画的に取り組む能力のこと。簡単に言うと、「自分で自分をマネジメントする力」です。
フィンランドの小学校では、この自己調整力を育むために「現象ベース学習」という独特な方法を取り入れています。例えば、「森」をテーマにした授業では、算数で木の高さを測り、理科で生態系を学び、国語で森の詩を書くといった具合に、複数の教科を横断的に学習します。子どもたちは自分で学習計画を立て、どの順番で何を学ぶかを決めていくんです。最初はうまくいかなくても、先生がサポートしながら徐々に自分で学習をコントロールできるようになっていきます。
また、フィンランドの学校では「失敗から学ぶ文化」が根付いています。テストの点数が悪くても叱られることはなく、「なぜうまくいかなかったのか」「次はどうすればいいか」を一緒に考えます。ある小学校では、子どもたちが自分の学習日記をつけて、毎日振り返りの時間を設けているそうです。「今日は集中できなかった理由」や「明日はこんな工夫をしてみよう」といった内容を書くことで、自分の学習パターンを客観視し、改善していく力を身につけているんです。
シンガポールの学校が取り入れる協働学習で育む「コミュニケーション能力」
一方、アジアの教育先進国として注目されるシンガポールでは、「コミュニケーション能力」の育成に力を入れています。多民族国家であるシンガポールでは、異なる文化背景を持つ人々と協力して働く能力が特に重要視されているんです。そのため、学校教育でも早い段階から協働学習を通じてコミュニケーション能力を磨いています。日本でいう「話す・聞く・伝える力」に加えて、「相手の立場を理解し、建設的な議論ができる力」まで含んだ、より包括的な能力です。
シンガポールの中学校でよく見られるのが「ジグソー学習」という手法です。例えば、歴史の授業で「第二次世界大戦」を学ぶ際、クラスを4つのグループに分けて、それぞれが「政治」「経済」「社会」「文化」の専門家になります。まず各専門家グループで深く学習し、その後、異なる専門家が集まった混合グループで情報を共有し合うんです。この過程で、子どもたちは自分の知識を相手にわかりやすく伝える力と、相手の話を理解して質問する力の両方を身につけていきます。
特に印象的なのが、シンガポールの小学校で行われている「コンフリクト・リゾリューション(対立解決)」の授業です。子どもたちが実際に体験しそうな場面、例えば「友達とゲームのルールで意見が分かれた時」や「グループ活動で役割分担がうまくいかない時」を想定したロールプレイを行います。単に仲直りするだけでなく、お互いの気持ちを理解し、みんなが納得できる解決策を見つける練習をするんです。先生は答えを教えるのではなく、子どもたち自身が話し合いを通じて解決策を見つけられるようにサポートしています。
日本の家庭でも実践できる!海外の手法を取り入れたアプローチ
これらの海外事例を参考に、日本の家庭でも非認知能力を育てることができます。フィンランド式の自己調整力を育てるには、子どもに「選択権」を与えることから始めてみましょう。例えば、宿題をする時間を子ども自身に決めさせたり、夏休みの自由研究のテーマを一緒に考えたりするんです。最初はうまくいかなくても、「なぜうまくいかなかったと思う?」「次はどうしてみる?」と問いかけながら、子ども自身が振り返り、改善していけるようにサポートしていきます。
シンガポール式のコミュニケーション能力を家庭で育てるなら、「家族会議」を定期的に開催するのがおすすめです。例えば、次の休日の過ごし方について話し合う時、それぞれの希望を聞いた上で、みんなが楽しめる計画を一緒に立てるんです。この時大切なのは、子どもの意見も一人の家族メンバーとして尊重し、「なぜそれがいいと思うの?」「他の人の気持ちはどうかな?」といった質問を通じて、相手の立場を考える習慣をつけることです。
また、両国に共通しているのが「プロセスを大切にする」姿勢です。結果だけでなく、そこに至るまでの努力や工夫、失敗から学んだことを認めて褒めることが重要なんです。テストの点数が良かった時は「よく頑張ったね」だけでなく、「どんな勉強方法が効果的だった?」と聞いてみる。逆に思うような結果が出なかった時も、「次はどうしたらいいと思う?」と一緒に考える。こうした日常の関わり方が、子どもの非認知能力を確実に育てていくのです。
海外の教育現場から学ぶ非認知能力の育て方、いかがでしたか?フィンランドの自己調整力育成とシンガポールのコミュニケーション能力向上の取り組みは、どちらも子どもを一人の人格として尊重し、失敗を恐れずチャレンジできる環境づくりを大切にしていることがわかります。完璧を目指す必要はありません。まずは子どもとの日常の関わり方を少し変えてみることから始めてみてください。きっと子どもの成長に新たな発見があるはずです。